総院長ブログ

2024/01/15

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第2回院長ブログ「くぼみ目治療について」

久しぶりの院長ブログです。今回は「くぼみ目」の治療法について話したいと思います。

 

①「くぼみ目」とは

上まぶたの組織量が加齢に伴い減少することによって上まぶたが上眼瞼溝の部分がくぼんでしまった状態のことです。

 

②「くぼみ目」の原因

上まぶたの組織でくぼみに影響するのは「眼窩隔膜前方の脂肪組織(隔膜前脂肪)」と「眼窩隔膜後方の脂肪組織(眼窩脂肪)」です。

加齢によって、眼窩隔膜前後に存在する組織が減少することで「くぼみ目」になるのですが、ほとんどの症例は家系的な要因です。つまり、くぼみ目の人は両親のどちらかがくぼみ目であることが多いということです。

それ以外では「医原的要因」も最近では少なくないようです。「医原的」とは分かりやすく言えば「医療行為が原因の」ということです。最近では多くの美容外科医が「目の下のクマ取り」と称して経結膜的に下まぶたの眼窩脂肪をむやみやたらに切除していることは本当に目に余るものがあるのですが、下まぶたの眼窩脂肪が減れば当然「眼窩という閉鎖腔」では上まぶたのボリュームにも影響します。「下まぶたのクマ取りの手術を受けてから、上まぶたがくぼんでしまった」という人も多いのではないでしょうか。
その他の医原性のものとしては、稀ですが「緑内障」の点眼薬によって起こることもあります。

また加齢による上眼瞼挙筋腱膜の脆弱化・瞼板との離開により起こる「腱膜性眼瞼下垂」が進行するとくぼみ目が強くなることもあります。

 

③「くぼみ目」の見かけの日内変化

くぼみ目の人の多くは、朝起きた時はあまりくぼんでいなくても夕方から夜にかけてくぼみが目立つようになることを経験しているのではないでしょうか。この現象はあくまでも「見かけの変化」で、朝と夜で脂肪細胞の数や脂肪細胞自体の大きさが変化しているわけではありません。寝ている間に下肢の方に溜まった水分が頭部の方に戻って来るため朝は顔が浮腫みます。特に上まぶた周辺の組織は水分で浮腫み易いので朝はくぼみが改善したように見えるのです。寝不足などで睡眠時間が減ると、頭部に戻って来る水分量が少なくなるので、朝からくぼみが出現することもあります。

 

④「くぼみ目」の程度の分類
当院では「くぼみ目」の程度を「軽度」「中等度」「重度」3段階に分類してしています。

軽度

上眼瞼溝はそれほど深くありませんが、眉下に影がうっすら出ています。軽度の場合、二重まぶたは維持されてます。

 

中等度

くぼみ目が中等度に進行すると、くぼみの上外側部の骨が浮き出てきます。もともと二重まぶたの人は二重幅が広がって二重の奥行きも浅くなり始め、やがてくぼみと重瞼線の間に引っかかったように不自然な線が出現し始めます。いわゆる「三重まぶた」です。この線が出現したらくぼみ目の程度は「中等度以上」の目安にしています。この線が出現して長期間放置すると、くぼみ目を治療してもこの線がシワのように残るので厄介です。当院ではこの不自然な線が出現している方には積極的にくぼみ目治療を勧めています。

 

重度

くぼみがさらに進行して、「眼球の形状」が分かるくらいになると重度に分類します。くぼみの上外側の骨の形状もはっきり分かるようになります。重度になると、二重まぶたは完全に消失します。二重まぶたというのは重瞼線の上方の皮膚が前方に覆い被さることで形成されるのですが、その被さる皮膚がくぼみに引っ張られ落ち込んでしまうことで、二重まぶたが形成されなくなります。この状態で二重まぶたにしたいとのご希望で当院に訪院される方も少なくありません。でもこのくぼみ目の状態でいくら二重まぶたの手術をしても、二重まぶたを作ることは不可能です。上述したように、二重まぶたを維持するためには、上まぶたのボリュームが必要なのです。

 

⑤「くぼみ目」の美容上の問題点

くぼみ目の美容上の一番の問題点は「老け顔」になってしまうことでしょう。上まぶたがくぼむと眉尻付近の骨の輪郭が浮き出てくるので老けたように見られるおです。また上まぶたがくぼむことで眉毛の下に暗い影ができるので疲れているような印象の目元になります。
くぼみが進行すると、後述するようにまぶたが開けづらくなるので眠そうな目元になり、本来のその人の体調と関係なく周りの人に「元気がなさそう」「疲れてるのかな」「眠いのかな」といったネガティブな印象を与えてしまうのです。

 

⑥「くぼみ目」の医学上の問題点

くぼみが中等度以上になると、日内変化として夕方以降にまぶたのくぼみが強くなると目が開けにくくなります。いわゆる「偽性眼瞼下垂」の状態です。この現象は、くぼんで落ち込んだ上まぶたの皮膚が、目を開けるための上眼瞼挙筋の上に被さることで、上眼瞼挙筋の動きの抵抗になってしまうからです。「偽性眼瞼下垂」と言えども、「眼瞼下垂」と同様に「肩こり」や「づ痛」といった随伴症状が出ることも多いのです。

 

⑦ くぼみ目の治療法

ほとんどの「くぼみ目」は単純に上まぶたの組織量の減少によるものです。この組織とは「眼窩隔膜前方の脂肪組織(隔膜前脂肪)」と「眼窩隔膜後方の脂肪組織(眼窩脂肪)」です。この組織量を回復させることができれば「違和感のない以前の状態」に戻ることができます。

当院での第一選択治療は「FGF-2による自己組織再生治療」です。この治療法が「安全」かつ「理想的」だからです。

ただ、くぼみ目の主たる原因が「腱膜性眼瞼下垂」の場合は、眼瞼下垂の手術を優先します。眼瞼下垂が改善してもまだくぼみ目が残存する場合は、手術後数ヶ月以降に「FGF-2による自己組織再生治療」を行います。

 

⑧「FGF-2による自己組織再生治療」とは何か?

FGFとは「 Fibroblast Growth Factor(線維芽細胞増殖因子)」のことです。
FGFは人体組織に存在するポリペプチド(タンパク質)であり、細胞間の情報伝達機能を有するシグナル因子FGFファミリーとして人では現在22種類の存在が知られています。
22種類のFGFはそれぞれ独自の生理的役割を有していて、細胞膜に存在するFGFR(FGF受容体)に結合することにより細胞核へ情報をシグナル伝達することで、その生理的活性が発現します。
治療に使用するFGFはFGF-2(分子量17.1×103)でbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)とも呼ばれ、創傷治癒促進・間葉系細胞増殖促進・神経保護等の役割を担っています。このようにFGFは、生体内で各種細胞の増殖、分化、機能を制御する重要な生理活性物質(サイトカイン)なのです。
このFGF-2の分子生理活性を利用した治療が「FGF-2による自己組織再生治療」です。
FGF-2の適用部位は様々です。FGF-2を利用する際の基本的な考え方は、「加齢と共に萎縮した部分の組織量の改善」です。すなわち年齢とともにボリュームを失ってしまって痩せてしまった部分のボリューム回復ということです。上まぶたのくぼみの治療の他、深くなった法令線(医学的には鼻唇溝と言います)、こめかみ・頬・手背等の痩せなどに極めて良好な改善効果があります。
FGF-2はもともと体内に存在するタンパク質であり、その創傷治癒過程と同様な機序で投与部位における血管新生や健常な細胞増殖・分化によって再構築され、結果としてボリュームが改善するのです。一度組織が再構築された部位は「自己組織」ですので、ヒアルロン酸等様に吸収されてなくなることもなければアレルギーの心配もありません。もちろん再構築された部位も数十年くらいの長期的には加齢によりある程度組織は再び「痩せて」きますが、通常15〜20年以上良好な状態を維持できております(当院でのFGF投与プロトコールによる経過です)。
当院は、誰もが有する自然の甦生力や創傷治癒力(傷を治す力)に働きかけて、目元のくぼみを改善させる「FGF-2による自己組織再生治療」を第一選択の治療にしております。

 

⑨ 治療方法と経過

治療自体はとても簡単です。上まぶたのくぼみの部分(上眼瞼溝)に無色透明な「FGF-2水溶液」を投与するだけですので実質5分程度で治療は終わります。治療自体「無痛」で行えますので、自称「痛がりやさん」でも安心して受けて頂くことができます。
FGF-2投与後は水分で上まぶたのボリュームが改善したように見えますが、2〜3時間ほどで吸収されて一旦元のくぼみ目の状態に戻ります。投与したFGF-2の生物学的半減期は30分程度なので、水分が吸収された頃には組織内のタンパク分解酵素により分解・失活します。
FGF-2の投与時に使用する投薬用針は極めて細いので通常出血することはほとんどありませんが、出血がある場合はその部だけ少し青くなるかも知れませんが、翌日からの生活に通常支障はありません。
FGF-2投与後の組織増殖・分化による自己組織再生の完了は約2ヶ月です。つまり、この治療によるくぼみ目改善の最終評価は2ヶ月後ということです。
どのくらい組織が増えるかを心配される方もおられますが、FGF-2投与による治療法はその「増える容積」を予測し易いのも治療の大きな利点です。
漠然とした表現ですが、当院でのプロトコールでは一回のFGF-2の投薬で加齢によって減少した容積の約40〜50%回復すると想定して頂ければ良いかと考えてます。くぼんだ容積の約半分改善すれば目元の老けた印象は驚くほどに改善します。
2ヶ月後にご自身でくぼみ目の改善具合をご評価して頂き、更なる改善を希望される場合は2回目の投与を行います。2回目では残存しているくぼみ容積の約40〜50%回復します。2回目の注入については追加の治療費用が必要になりますが、お受け頂き易い設定にしておりますのでご安心ください。

 

⑩「くぼみ目の程度」と「被治療者が希望されたFGF-2投与回数」との関係

くぼみ目の程度によって、来院された方のFGF-2投薬による施術の回数は変わってきます。あくまでも、どの程度回復すればご満足されるかのご判断にはかなり個人差があります。
くぼみの程度が「軽度」なら、1回で治療を完了した人は約90%です。「軽度」ならFGF-2の1回投与でほとんどの方が満足されたということです。くぼみの程度が「中等度」になると、1回投薬で満足されて治療を終了する人が約40%、2回目を希望される人が約60%です。つまりくぼみの程度が「中等度」くらいに進行すると、過半数の方が2回目を希望されています。くぼみの程度が「重度」になると1回投薬で満足治療を終了する人が12%、2回目を希望される人が68%、3回目を希望される人が20%です。「重度」の人の約9割が2回以上の治療を希望したことになります(Fig.01を参照)
Fig.01 『くぼみ目の程度とご希望により行った治療回数の割合』

これは当院の2004年以降のFGF-2投与治療から得られた統計的数値ですので、ご自身のくぼみの程度と必要な治療回数の参考にしてください。

 

⑪ FGF-2投与における注意点

当院にくぼみ目治療に来られる方で、過去に「ヒアルロン酸注入」をされている場合は必ずご申告ください。
FGFは本来、生物学的半減期が約30分で投与部位での分解・失活が非常に早いタンパク質です。しかしフィラーとして注入されたヒアルロン酸が残存していると、ヒアルロン酸によって「安定化」されタンパク分解酵素の影響を免れて、本来の生物学的半減期より長い時間、組織に作用します。それにより本来の自然な組織増殖過程と異なる反応を示すことがあります。
したがって、FGF-2を投薬する前に必ずヒアルロン酸分解酵素を投与してヒアルロン酸を分解・吸収させる必要があります。過去に上まぶたにヒアルロン酸を注入したことがある場合は、必ずその旨をご申告ください。注入から15〜20年以上経過してもヒアルロン酸が残存していることもありますので注意が必要です。

軽度症例

 

中等度症例

 

重度症例

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